食品スーパーの店舗運営において、頭を悩ませる夏場の「天井結露」。
今回は、過去に弊社が設計した条件をモデルに、断熱仕様が結露にどう影響するかを科学的に検証しました。
1. 検証:断熱材の「厚み」はどこまで有効か?
まず、断熱材の有無と仕様による熱の逃げやすさ(熱貫流率:U値)を比較しました。

【検証結果】
断熱材を設置することで、無断熱時に比べ熱損失を約10倍抑制できることは確かです。
しかし、グラスウールの厚みを50mmから100mmへ増やしても、結露抑制に対する決定打にはなりにくいという結果が出ました。

2. シミュレーションで露呈した「断熱の限界」
計算上、夏場の天井裏温度が40℃、店内温度が24℃(温度差16℃)の場合、
断熱材(50mm)を施工しても、天井ボード付近の温度は約23〜26℃まで冷やされます。
ここで重要になるのが「露点温度(結露が始まる温度)」です。
・天井裏の湿度が85%の場合: 露点温度は約37℃。
・現状のボード面温度: 約23〜26℃。
ボード面の温度が、結露の境界線である37℃を大幅に下回っているため
「断熱材をどれだけ厚くしても、天井裏が高湿な限り結露は防げない」という事実が浮き彫りになりました。

3. 結論:結露対策の肝は「天井裏の空調換気システム」
シミュレーションの結果、最も効果的であると判明したのは「天井裏の環境そのものをコントロールすること」です。
・湿度のコントロール: 天井裏の湿度を85%から60%へ下げることで、露点温度を約15〜18℃まで引き下げることが可能。
・温度のコントロール: 天井裏温度を40℃から30℃前後に管理することで、店内温度差を縮小し、エネルギー損失も抑えられる。
これにより、ボード面温度が露点温度を上回り、結露を根本から防ぐことができるようになります。

「断熱材は最低限(50mm程度)とし、天井裏の湿度・温度を空調換気で適切に管理する。」
これこそが、スーパーマーケットにおける結露対策の最適解であると私たちは結論づけました。
まちづくり価値研究所、次回はまた新たな視点から設計環境の最適化を提案していきます!



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