気遣いや親切はお金に換えてはいけない

「社会規範」と「市場規範」

いろんな案を見てもらいたいので
何種類もの図面を提案するとしましょう。

するとクライアントからは、図面を見比べることができて
設計士は感謝されることでしょう。

ですが、何種類も図面を作るのも面倒なので
提案1種類につき@00,000円と価格をつけるとします。

そうなると、クライアントとしては
できるだけ多く見て検討したかったり、1案でも多く上司に出したかったりで
採用することのない図面をオーダーすることとなります。

設計士は、利益が増えるからいいやと思うかもしれませんが
クライアントも払える額は決まっているので
結局、違う項目を値引きされたりで、成果にはならず
元々しなくてもよかった作業が増えるという結果となります。

これは、<社会規範 = 気遣い><市場規範 = 値付け>が重なると
市場規範の方が重くなるということです。

イスラエルの託児所の事例

子供のお迎えに来る親たちは罪悪感から
なんとか遅れてはいけないと間に合うように努力していました。

ある日、託児所は遅刻のペナルティをとして罰金を取ることとしました。
すると、親たちの遅刻は減るどころか、増えることとなってしまいました。
親たちはお迎えを、社会規範から市場規範として捉えるようになってしまい
お金を支払うことで罪悪感を持たないようになってきたのです。

その後、託児所は罰金制度をやめました。
しかし、遅刻が元に戻ることはなく、親たちは変わらず遅刻を続けたようです。

善意の行為に対して、一度対価が提示されると
その対価なしに人は動かなくなってしまうのです。

私の知り合いで、毎日深夜まで薄給にも関わらず
毎日夕方に菓子パンが出ると言って喜んで働いていました。
これも社会規範で成立しているパターンですね。
もし菓子パンが手当てという報酬に変われば
モチベーションはたちどころに下がることになるでしょう。

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